趣旨

いまお使いのキーボードが変身します。トンツー式とガラス玉が斬新です。

純粋キーボード批判

PCを買い替えるとして、まずCPUやRAMから選ぶのが一般的ですが、キーボードに投資することも大切です。キーボードは日常的に頻繁に使うデバイスであり、指になじむキーボードはPC操作を快適にします。

とはいえ、日本国内で流通している日本語キーボードに改善したい点がないわけではありません。そこで「純粋キーボード批判」と題し問題点を指摘し改善案を示します。問題点の由来についても言及し、改善案の根拠も明らかにしますので、建設的な意味であえて「批判」とします。

キーボードの問題点といっても多岐にわたりますが、ここで述べるのはキー配列に関するものです。キーボードのキー配列はタイプライターに起源をもち、PCに採用され、日本語キーボードに移植されたという歴史を負っています。この歴史ゆえ保守的な傾向が非常に強く、問題点がいまも隠されたままに存続しています。たとえば半角/全角キーの位置です。

だからといって、新しいキーボードを作ろうというわけではありません。キーの色やキートップの形状、キータッチなど、キーボードの好みは十人十色です。そこで、キーボードとPCの間に「中継器」を設けて、問題点の改善を実現することにしました。

この中継器は超小型のUSBデバイスで、aKEYBOARDと命名しました。aKEYBOARDの「a」はalternavie(代わりの)の頭文字です。

本批判の中心課題

この図はごく普通のキーボードです。眺めていると、二つのことに気付きます。一つにはタイプライターの時代の産物が残されていること、二つには日本語対応に甘いことです。

タイプライターの産物とは、InsertキーとCaps Lockキーです。日本語対応の甘さとは半角/全角キーが押しにくい遠いところに配置されていることです。これらは本批判の中心課題となります。

Insert → 無効化

本批判の中心課題は二つあると述べましたが、これは六つのキーの割り当てを変更することで解消できます。──以降、順次、図解していきます。

Insertはタイプライターの時代から存続するキーです。ほとんど使うことが無いにもかかわらず、Deleteのすぐそばにあるため意図しない押し間違えが起きやすいキーです。そこでInsertは作用しないように無効化します。

Caps Lock → Ctrl

Caps Lockもタイプライターの時代から続く遺産のキーです。英語の入力には意味あるキーであっても日本語入力においては使用頻度の低いキーです。それだけでなくキー配列の一等地にあって、いい場所を占有しています。これをCtrlに置き換えて場所の有効利用にします。

Caps Lockと左Ctrlを入れ替えて使うユーザーが少なからず存在しています。これはキー割り当ての定番になっています。市販のキーボードのなかにも同等の機能を持たせたモデルがあって、入れ替え用のキーキャップが同梱されています。ただし、本批判では左下のCtrlはそのままにします。指が覚えてしまっているキーは変えないとする配慮からです。この配慮は本批判の基本的な態度です。

なお、Caps Lockはプログラムの記述などによく使われますので、その場合はCtrlの割り当てをしないように、本体底面の切り替えスイッチで選択できるようにしておきます。詳しくは、次ページの「好みの選択」で述べています。

右Alt → Ctrl-XCV

右Altに「Ctrl-XCV」を割り当てます。「Ctrl-XCV」はまったく新しいキーです。

Caps LockにCtrlを割り当てたのは、ショートカットキーにCtrlをよく使うからです。なかでもよく使うショートカットキーは、Ctrl-X(切り抜き)・Ctrl-C(コピー)・Ctrl-V(貼り付け)の三つです。この三つの操作をワンキーで実行するのがCtrl-XCVです。

どうするかというと、Ctrl-XCVをトントン(・・)と二度押すと切り抜き、トン(・)と一度押すとコピー、ツー(─)と少し長押しすると貼り付けの動作をします。短点と長点で文字を表すモールス符号から拝借しましたので、トンツー式と呼ぶことにしました。

Ctrl-XCV
トントン(・・) 切り抜き Ctrl-X
トン(・) コピー Ctrl-C
ツー(─) 貼り付け Ctrl-V

このトンツー式は、すぐに指が覚えてくれて、切り抜き・コピー・貼り付けが快適になり、楽しくにさえなります。なお、従来のCtrl-X・Ctrl-C・Ctrl-Vは、そのまま温存します。とっさの際に従来のショートカットを使うことはあるでしょう。この配慮は前項で述べたように、本批判の基本的態度として貫いています。

補遺:コピーと貼り付けは俗にコピペとよばれますから、これを「コピ・ペー」とよび直せばコピーをトン、貼り付けをツーとするのは覚えやすい適用と思われます。では、切り抜きのトントンは如何でしょうか。モールス信号による通信の最後に「さようなら」の意味でトントンと打鍵する習慣がありました。さようなら≒切り抜きとすれば、トントンに意味を与えることができます。──すこし無理のある説明かもしれません...。
モールス符号は短点(トン)と長点(ツー)の組み合わせで、アルファベットや数字などの多くの文字を表現します。それを覚えるにはそれなりの学習と練習が必要です。それに比べれば、Ctrl-XCVの操作はちょろいもんです。

変換キー → 半角/全角キー

半角/全角キーは左奥の遠くにあって押しにくいため、様々な対処法が提案されています。ここでは、由緒ある変換キーに半角/全角キーを割り当てます。スペースバーの隣にあって押しやすい位置です。これは本批判の中心課題であって、日本語キーボードにとって最も重要なキー割り当てといえます。慣れるまでに配慮して従来のキーは温存しています。

無変換 → 半角空白

本批判では日本語キーボードを念頭に進めていますので、全角モードが基本です。さて全角モードにおいて半角空白を入力したい場面があります。Shift-Spaceで入力できますが、入力のテンポが乱れます。ほかのキーと同等に半角空白も「一つの文字」とみなし、独立したキー、ここでは無変換キーに半角空白を割り当てます。

これは日本語における唯一の半角文字で、特別なキーです。全角モードのままで半角の空白を入力できる単独キーはこれまでありませんでした。

カタカナ/ひらがな → F10

右奥にあるF10キーを「カタカナ/ひらがな」キーに配置します。全角モードのとき、文中で英単語を入力したい場面においてF10キーを使うと重宝します。次に例を示します。

「a・b・c・d・e」 とタイプすると 「あbcで」 と表示されます。そこでF10キーを押します。すると、順次、次のように変換されます。

F10の活用
F10 → abcde
F10 → ABCDE
F10 → Abcde

全角モードのままで、すなわち、半角モードにしないで、したがって全角モードに戻す操作もなく、さらに、Shift キーも使わないで、手間なく、半角英数字の小文字/大文字を自在に入力できます。半角モードへの切り替えが減ります。全角モードを「主」、半角モードを「従」と位置付けることができます。

一番手前の行に変換関係のキーを配置

スペースバーが一番手前の行に配置されている事実から明らかなように、一番手前の行は押しやすい特別な行です。ここに変換関係のキーを配置することは、日本語キーボードの操作系として合理的であるといえます。

すると、全角モードのままで、日本語への変換はもちろんのこと、半角への変換もできる、いわば双方向への変換ができることを意味します。これでこそ日本語キーボードといえるのではないでしょうか。

全角モードにおいて
スペース 日本語への通常の変換
無変換 F10 半角空白の入力、半角英数字への変換

本批判の中心課題である日本語対応の甘さは、これで解消されます。課題の近似的一般解といえると思います。

ガラス玉

aKEYBOARDは別名「ガラス玉鍵盤 ®」と称し、ガラス玉の光り方(エメラルドグリーンの明暗)で半角モードと全角モードを表して視認性を向上させます。もはや言語バーの小さなアイコンに視線を移す必要はなくなります。

aKEYBOARD

切り抜き(Ctrl-X)コピー(Ctrl-C)貼り付け(Ctrl-V)を一つのキー(Ctrl-XCV)で行うなど、以上六つのキー割り当てや、ガラス玉で半角/全角を表すなど、ユニークなデバイスです。いまはユニークで斬新でも、やがていつの日か、全部とはいわないにしろ進展し一般化するだろうことに疑いはありません。

本批判によるaKEYBOARDは、特に、英単語混じりの和文を多く書くPC中上級者に体験していただきたいものです。キー操作が楽しくなること必定です。